実体験から伝えたい「親が亡くなった後に行うこと③」

第二回目の記事に続いて、今回は家族が亡くなった際に残された親や家族の公的手続きについて解説していきます。

残された家族がいち早く新生活を迎えられるよう、私の実体験も踏まえながら手続き内容について分かりやすくまとめていきます。

前回記事では「市区町村の役所で行うこと」「法務局で行うこと」まで解説しました。

亡くなった親が加入していた健康保険組合で行うこと

法務局にて「法定相続情報一覧図」の申請が終わったら、故人が加入していた健康保険組合での手続きに移ります。

本手続きは、亡くなった親がサラリーマンの方で健康保険組合に加入している、または、会社は辞めているが任意継続で在籍時に加入している健康保険組合に加入している方が対象となります。
第1号被保険者(フリーランス、自営業、退職済みの方で任意継続していない方)は、基本的に本手続きは不要です。故人が加入していた国民健康保険、国民年金の手続きは、市区町村役所や年金事務所で行いましょう。

1. 資格喪失証明書の受領

まず、健康保険組合に電話(または訪問)をして、死亡したことを伝えましょう。
職場に死亡連絡をした時点で、健保組合の手続きも自動で進めてくれている職場は優秀ですね。私の場合は、父は定年退職するまで在籍していた職場の健保に任意継続で加入しており、現在の職場と健保組合が別になるため、自分で連絡・手続きをすることが必要でした。

健保組合に連絡したら、まず資格喪失証明書の申請を行いましょう。

【期限】
死亡後5日以内
(国保や後期高齢者医療制の場合、市区町村の役所へ14日以内に手続き)

※私の一家のように配偶者が扶養されていた場合は、残された家族が国民健康保険 / 国民年金への加入手続きを死亡後14日以内に市役所 / 年金事務所で行う必要があります。その際に「資格喪失証明書」が必要になるため、素早く手続きを進めましょう。詳しくは前回の第2回記事をご覧ください。

2. 埋葬料の申請

亡くなった親が健康保険の被保険者(第2号被保険者)の場合は、「埋葬料」を請求できます。これは申請しなければ誰も教えてくれることはありませんので、期限までに申請してきちんとお金を受け取りましょう。(健保組合が親切に教えてくれた場合は、感謝しましょう)

また「埋葬料」に類似するもので「葬祭費」があります。これは故人が第1号被保険者の場合に受け取れるもので、詳しくは第2回記事を参照ください。つまり、「埋葬料」と「葬祭費」は両方受け取ることはできませんので、故人の被保険者分類に応じて申請しましょう。

【期限】
死亡後2年以内

【必要書類】

  • 死亡診断書のコピー
  • 故人の健康保険証
  • 葬儀費用の領収書 等
  • 健康保険埋葬料請求書

※「健康保険埋葬料請求書」は、健康保険組合ごとに様式があると思いますので、組合に電話をした際に用紙を郵送してもらいましょう。電子ダウンロードできる場合は、URLを教えてもらいましょう。

3. 保険料還付金の確認 ←相続税申告に必要

亡くなった親が一定期間の社会保険料(健康保険、厚生年金、介護保険 等)をまとめて払っていた場合、過払いになっている可能性があります。

社会保険料は、資格喪失日(=死亡日)の翌日が属する月の支払いは不要となるため、月末に亡くなったケースを除いて、死亡した前月までの社会保険料の支払いが必要となります。

サラリーマンで毎月保険料を徴収されている方は、社会保険料が一月遅れで徴収されるケースがほとんどかと思います。その場合、死亡月の給与で前月分の社会保険料が徴収されるため、過払いにならないケースが多いのではないでしょうか。

私の家族の場合、父親は前職の健保組合に任意加入しており、1年間分を前納していたため、死亡以降の分について還付金を受け取る権利がありました。
本シリーズ記事の後半には相続手続きについて触れますが、本還付金は父親が生前に所有していた財産と考えられるため相続財産とみなされます。そのため、還付金の証明書を受領、保管しておきましょう。相続税申告の際に必要となります。

4. 高額療養費の還付申請の流れを確認 ←相続税申告に必要

親が亡くなる直前に病院へ入院していた場合、その月の医療費について高額療養費の還付を受け取れる可能性があります。
特に、入院期間中に手術をしていた場合など医療費が高額になるため、該当する可能性が高くなります。
私の場合、父親は病院に搬送されてから暫くICU(集中治療室)へ入院、複数回の手術を行いましたので、医療費が高額になり本制度を使用することになりました。

少し話は変わりますが、日本の社会保障制度は世界的にも最強クラスと言われております。
その理由の一つは、「高額療養費制度」であり、この制度は一月の医療費が上限額を超えるとそれ以上の分は国が保証をしてくれるというものです。上限額は、年齢や所得によって変わります。
これによって、日本では一月の医療費が数百万円になっても、実際の支払いは圧倒的に削減されるのです。
私は会社員時代最も収入が高かった時、会社折半分を含めると年間300万円近く社会保険料を支払っていました。病院へほとんどいかない&将来の年金が期待できない世代の私がなぜこんなに保険料を納めなければならないのか、その裏事情をまざまざと痛感した瞬間でした。

申請方法については、健保組合ごとにやや変わるみたいなので、電話をする際に確認しましょう。
ちなみに、私の場合は、申請書を健保組合から受け取り、必要情報を記載して、医療費の明細書とともに提出しました。

【期限】
医療費の支払いから2年以内

【必要書類】

  • 高額療養費申請書
  • 医療費明細

5. 死亡した年の支払い済み保険料証明書の受領 ←準確定申告に必要

親の死亡日までの保険料について、支払い証明書を受け取っておきましょう。

本シリーズ記事では、後ほど「準確定申告」と呼ばれる故人の所得税申告手続きについて説明しますが、その際に必要になります。故人が最後に働いていた職場と健康保険組合が同じ場合、死亡日までの源泉徴収票に支払った社会保険料が記載されていると思いますが、その場合は基本的に保険料支払い証明書は不要です。

確定申告を行なったことがある方はイメージが湧きやすいと思いますが、支払った社会保険料は所得控除の立派な項目です。故人の源泉徴収票に記載がない場合は、組合に申請をして保険料の支払い証明書を受け取り保管しておきましょう。

6. 健康保険証の返還

亡くなった親が健康保険の被保険者(第2号被保険者)の場合に所持していた健康保険証を職場or組合に返しましょう。
配偶者が扶養されていた場合(第3号被保険者)配偶者の保険証の返還も同時に行いましょう。

私の場合は、一度電話をして必要書類について郵送してもらった際に、保険証の返送用封筒も入れてもらい、そちらを使って返却しました。

【期限】
死亡後2年以内

【必要書類】

  • 死亡診断書のコピー
  • 故人の健康保険証
  • 葬儀費用の領収書 等
  • 健康保険埋葬料請求書

※「健康保険埋葬料請求書」は、健康保険組合ごとに様式があると思いますので、組合に電話をした際に用紙を郵送してもらいましょう。電子ダウンロードできる場合は、URLを教えてもらいましょう。

亡くなった親の勤め先で行うこと(第4回記事へ

健康保険組合での手続きの次は、故人の職場での手続きの説明に移りますが、次回記事に引き継ぎます。

少しでも本記事が皆さんに役立つことを祈っております。心に余裕が持てれば、故人を悲しむ時間を十分に取れます。迅速に手続きを行う事ができれば、次の生活への切り替えも早くなります。
また、出費という観点でも、極力自分で進めることで圧倒的に低く抑える事ができます。恐れず、勉強も兼ねて手続きにトライしてみましょう!

第4回記事へ続く。。。

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