実体験から伝えたい「親が亡くなった後に行うこと⑤」

第4回の記事に続いて、今回は家族が亡くなった際に残された親や家族の公的手続きについて解説していきます。

残された家族がいち早く新生活を迎えられるよう、私の実体験も踏まえながら手続き内容について分かりやすくまとめていきます。

前回記事では「亡くなった親の勤め先で行うこと」を解説しました。

年金事務所で行うこと

故人の勤め先での手続きが終わったら、年金事務所での手続きに移ります。

本手続きは、亡くなった親が企業に雇用されていた場合に限ります。個人事業主やフリーランスとして働かれていた方、既に定年退職された方は基本的に該当しません。

1. 訪問予約 ←早いタイミングで電話するのがオススメ

まず、年金事務所へ訪問日の予約を行いましょう。
これをいかに早く行うかは重要になってきます。私の実家の地域では年金事務所が混んでおり、2週間以上先の訪問日しか面談予約ができませんでした。これは大幅な時間のロスでした。

可能な限り電話やWeb上で手続きができないか粘りましたが、ここは「THE 日本」です。対面手続きのオンパレード。当然、対面での手続きを求められました(笑)
私の世代からすると「勘弁してください」の一言です。私は結構海外で生活を送ってきた人間なので、もし手続きする人間が海外だったらどう対応してくれるのだろう?わざわざ日本へ帰国&手続き終わるまで滞在が必要?など色々疑問に思いました。海外でなくても、居住地が故人の方の実家から遠方にある場合も大変ですよね。
今の世の中にあっていないこと極まりない。さっさとDXを進めてもらいたいところです。

愚痴はほどほどに、説明を続けます。他の手続きに頭を悩ませる前に、まず年金事務所の訪問日程を確保した方が良いかもしれません。皆さんの実家の地域の年金事務所が混んでいなければ良いのですが、超高齢化社会が進む日本では、年金手続きを求める高齢者が多いのも事実です。また、高齢者は窓口での手続きが長い。。。もう少し他の方の時間についても気を遣って欲しいですね。

2. 国民年金の加入手続き

亡くなった親が配偶者を扶養していた場合、扶養されていた人はすぐに仕事に就く予定がない場合は、第1号被保険者に該当するため、本手続きが必要になります。
私の家の場合、父は専業主婦の母親を扶養していたため、母は国民年金への加入手続きを行う必要がありました。

第一回記事で解説した市区町村役場での「国民健康保険への加入手続き」と同時に「国民年金の加入手続き」を受け付けてくれるケースもあります。
私の家では、母を市役所に連れて行き国保の手続きをすると同時に国民年金の加入手続きも進めました。
今回解説するように年金事務所でも申請可能ですので、こちらでも解説していきます。

【期限】
死亡後14日以内。

【必要書類】

  • 年金手帳(私の一家ではマイナンバーカードで代用できたため不要でした)
  • マイナンバーカード
  • 印鑑
  • 資格喪失証明書

※私の一家の場合、亡くなった父親と専業主婦の母のマイナンバーカードを持参することで年金手帳は不要となりました。年金番号がマイナンバーカードに紐づいているためと言われました。マイナンバーカード以外の持ち物については、新たに国民年金に加入する申請人の分だけ用意すれば良いかと思われます。
念の為、面談予約の電話をした際に当日の持ち物を確認しておくことをお勧めします。

3. 遺族年金の加入手続き

親が亡くなった場合、その配偶者は「遺族年金」受給者に該当する可能性があります。

「遺族年金」には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、扶養する配偶者や子供、収入などの条件によって支給の有無が決定します。

私の一家の場合、子供は全員18歳以上、母は60歳になっていませんでした。亡くなった父親はサラリーマンとして退職まで勤め上げていたこともあり老齢厚生年金の受給権がありましたので、母は65歳になるまで遺族厚生年金と中高齢寡婦加算(次章にて説明)を、65歳以降は遺族厚生年金と自身の老齢基礎年金を受け取ることになりました。

受け取れる実質の年金額(物価を考慮)は年々減少していますので、私も母を連れて年金事務所に手続きをしに行った際に伝えられた額には少し驚きました。この物価高の世の中、年金だけでは生活はままならないという意味がよく理解できました。

【期限】
死亡後5年以内。

【必要書類】

  • 年金手帳(私の一家ではマイナンバーカードで代用できたため不要でした)
  • マイナンバーカード
  • 戸籍謄本(私の一家では法定相続情報一覧図で代用できたため不要でした)
  • 世帯全員分の住民票の写し(私の一家では法定相続情報一覧図で代用できたため不要でした)
  • 死亡した人の住民票の除票(私の一家では法定相続情報一覧図で代用できたため不要でした)
  • 請求者の収入を確認できる書類(私の一家では不要でした)
  • 子どもの収入を確認できる書類(私の一家では不要でした)
  • 死亡診断書のコピー
  • 振込先の通帳
  • 印鑑

※私の一家の場合、亡くなった父親と専業主婦の母のマイナンバーカードを持参することで年金手帳は不要となりました。年金番号がマイナンバーカードに紐づいているためと言われました。また、戸籍謄本や住民票などについては法務局で作成した「法定相続情報一覧図」で代用できたため、不要でした。
地域によって必要書類に差がある可能性はあるため、念の為、面談予約の電話をした際に当日の持ち物を確認しておくことをお勧めします。

4. 中高齢寡婦加算の申請

私の一家のように、サラリーマンとして働いていた夫が厚生年金の受給資格を有している場合、その配偶者は遺族厚生年金を受け取ることができますが、これに加えて40歳〜65歳までの間は「中高齢寡婦加算」と呼ばれるものが加算される可能性があります。
現在の金額は 年額596,300円となっています。

【受給条件】

  • 40歳以上65歳未満の妻
  • 生計を同じくする子がいない
  • 遺族基礎年金を受給していない
  • 夫の厚生年金加入期間が20年以上

【期限】
死亡後5年以内。

5. 寡婦年金、死亡一時金受給申請

寡婦年金と死亡一時金は、遺族基礎年金の受給資格のない人が受け取れる可能性のある制度になっています。ちなみに、寡婦年金と死亡一時金は同じ人が両方受け取ることはできません。両方の受給資格を持つ方はどちらか一方を選ぶことになります。

ちなみに我が家では、父が厚生年金受給者でしたので受給資格には該当しませんでした。

「寡婦年金」とは?

寡婦年金は、夫が自営業者かつ子供のいない女性が受け取れる年金です。男性は受け取ることができません。
支給年齢は60歳から65歳までの間となります。

【受給条件】

  • 第1号被保険者として10年間保険料を納めた夫と婚姻期間が10年以上ある
  • 死亡した夫が障害基礎年金の受給権者でなく、老齢基礎年金を受けたこともない
  • 繰り上げで老齢基礎年金を受給していない

【期限】
死亡後5年以内。

「死亡一時金」とは?

死亡一時金は、家族が死亡した時にもらえる一時金です。金額は、故人が保険料を納めた月数に応じて12万円~32万円と異なります。

【受給条件】

  • 第一号被保険者として36か月保険料を納めていた家族を亡くした
  • 遺族基礎年金、寡婦年金どちらの支給条件も満たしていない
  • 老齢基礎年金や障害基礎年金も受け取っていない
  • 亡くなった人と生計を同じくしていた

【期限】
死亡後2年以内。

※死亡一時金の受給資格は配偶者だけに留まりません。ただし、受け取りには下記の優先順位が存在します。

  1. 配偶者
  2. 子ども
  3. 父母
  4. 祖父母
  5. 兄弟姉妹

6. 故人の未支給年金の請求

年金の支給を既に受けている方は馴染みがあるかと思いますが、年金は基本的に偶数月に前月と前々月の2ヶ月分をまとめて支給されます。
そのため、故人が年金受給者の場合、その死亡日によっては未払金(生前に年金の受給権が発生しているが支払いが死亡日前に行われていない)が発生していることになります。この未支給の期間分の年金について請求することが可能です。

【期限】
死亡後5年以内。

【必要書類】

  • 年金手帳(私の一家ではマイナンバーカードで代用できたため不要でした)
  • マイナンバーカード
  • 未支給年金請求書

死亡保険がある場合第6回記事へ

年金事務所での手続きが終わったら、次の「死亡保険がある場合」の手続きへ移りますが、本記事の長さを考慮し、次回記事に記載します。

少しでも本記事が皆さんに役立つことを祈っております。心に余裕が持てれば、故人を悲しむ時間を十分に取れます。迅速に手続きを行う事ができれば、次の生活への切り替えも早くなります。
また、出費という観点でも、極力自分で進めることで圧倒的に低く抑える事ができます。恐れず、勉強も兼ねて手続きにトライしてみましょう!

第6回記事へ続く。。。

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