第6回の記事に続いて、今回は家族が亡くなった際に残された親や家族の公的手続きについて解説していきます。
残された家族がいち早く新生活を迎えられるよう、私の実体験も踏まえながら手続き内容について分かりやすくまとめていきます。
前回記事では「死亡保険がある場合」の手続きについて解説しました。
不動産賃貸業による収入がある場合
死亡保険金がある場合の手続きが終わったら、不動産賃貸業による収入がある場合の手続きに移ります。
本手続きは、亡くなった親が不動産賃貸業を行って不動産収入を得ている場合の話になります。該当しない方はスキップしていただいて構いません。
1. 賃料振込先の一時的な変更を依頼(遺産分割が終了するまで)
亡くなった親が不動産を所有しており、賃貸契約書により賃料の振込を受けていた場合は、借主へ訃報の連絡と共に、遺産分割(故人の財産について相続人間で誰が何を受け取るか協議をすること)が完了するまでの間、相続人の中で決めた代表者の口座に賃料を振り込んでもらうように依頼しましょう。
親が亡くなったことを借主が知らない場合、借主はこれまで通り故人の通帳へ振込を行おうとするでしょう。しかしながら、金融機関に死亡の届出を行っている場合、既に故人の金融口座は凍結されてしまっているため振込が行えず、借主は困ってしまいます。
また、金融機関に死亡届でを行っておらず口座が凍結されていない場合は、故人の口座へ賃料の振込が行えてしまいます。しかしながら、死亡日以降に発生する不動産賃料については故人の財産ではなく、相続人の財産として取り扱われるため、故人の通帳にお金が振り込まれてしまうと後々の取り扱いが大変になると予想します。そのため、不動産賃料の振込がある場合は、死亡後速やかに借主に連絡を取るようにしましょう。
遺産分割協議で賃料が発生する不動産を誰が相続するかが決まるまでは、相続人代表者が一旦は賃料を受け取りますが、その賃料については相続人全員の共有財産とみなされるため、法定相続分(本シリーズ記事後半「相続編」にて開設)に基づいて、各相続人間で分割する必要があります。
また、親が死亡した後、遺産分割協議が翌年の1月1日までに完了しなかった場合、その年に発生する固定資産税については、法定相続分に従って相続人間で分割して支払うことが原則になります。
遺産分割が完了するまでの不動産は全相続人の共有財産になるわけですから、税負担も全員で分担するのは合理的ですね。
尚、遺言書があり、該当の不動産の受取人が指定されている場合は、死亡日以後すぐに指定の相続人の財産になるため、該当の不動産にかかる賃料の受取も税負担も当人が行うことになります。
2. 正式な賃料振込先を依頼(遺産分割終了後)
遺言書がない場合は、相続人間で遺産分割協議を行い、遺産の分割方法を決めます。本協議が終了した後に発生する該当の不動産にかかる賃料や税金については、相続人がすべて請け負います。
相続人が決まり次第、借主に対して今後の振込口座と共に連絡をしましょう。
この際、賃貸契約書の覚書をつけて、契約書上の名義が親から相続人にうつったことが契約書上でも分かるようにしておくと尚良いでしょう。
まずは、電話で一報を入れ、後ほど速やかに「相続人と賃料振込口座のお知らせ」と「契約者名義変更の覚書」を郵送にて借主に送ると丁寧で良いと思われます。
本シリーズ記事の後半「相続編」で説明しますが、遺産分割協議が終了し遺産分割協議書の作成が終了したら、速やかに各遺産の名義変更を行うことをお勧めします。
遺産分割協議書に記載の日付を持って、財産の所有者は各相続人になりますが、財産の名義が故人のままだと、資産の取り扱い手続きに支障が出るでしょう。
預金であれば銀行に届出を行い、不動産であれば法務局にて相続登記を行いましょう。
各資産の名義変更については、後の記事にて解説いたします。
金融機関で行うこと(第8回記事へ)
不動産賃貸業による収入がある場合の手続きが終わったら、次の「金融機関で行うこと」へ移りますが、本記事の長さを考慮し、次回記事に記載します。
少しでも本記事が皆さんに役立つことを祈っております。心に余裕が持てれば、故人を悲しむ時間を十分に取れます。迅速に手続きを行う事ができれば、次の生活への切り替えも早くなります。
また、出費という観点でも、極力自分で進めることで圧倒的に低く抑える事ができます。恐れず、勉強も兼ねて手続きにトライしてみましょう!
第8回記事へ続く。。。
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