開業時に行うこととは?

私は2021年にYouTubeの収益化に成功し、個人事業主として開業しました。開業する上で行った手続きについて分かりやすく解説していきます。

開業届って必要?

サラリーマンでも副業としてある事業を行ない、定期的に収益が発生する様になった場合、開業届の提出を考えた方が良いでしょう。とりわけ、年20万円以上の所得(収益−経費)を見込まれている方は、翌年に確定申告を行う必要性があり、青色申告の所得控除等、開業届を出すことにより様々な恩恵を受け取ることが可能になります。

開業届は法律にて、事業開始から1ヶ月以内に提出しなければならないと定められています。しかし、実際のところ開業届を出していない場合でも、開業した年の事業収支報告を確定申告にて行えば、問題ないという意見も見受けられます。

私はYouTubeで収益が発生した月に開業届を税務署に提出しました。YouTubeは基本的に、広告収入は月毎に変動しますが、ある程度の視聴回数を維持していれば、毎月継続的に収入が入ってきます。ですので、収益化に成功した方はその月に開業届を出しておくのが無難でしょう。

ちなみに、収入が継続的でない場合は開業届を出す必要はありません。この場合の収入は事業所得ではなく雑所得にあたり、確定申告も白色申告で行うことになります。また、継続的な収益をあげていても、収益が小さすぎて事業として認められない場合は青色申告を使った確定申告を行うことができません。(個人的には、月1万円でも継続的に収益を上げるようなビジネスをしていれば立派な事業だと思うのですが。。。実際のところ年の収益が100万円程度はあったほうがいいみたいですね)

開業届を出すメリットとは?

  1. 青色申告を使った確定申告ができる
  2. 家事按分により家賃や光熱費を経費にできる
  3. 事業用の口座を作ることができる

順番に見ていきましょう。

1.青色申告を使った確定申告ができる

税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出することで青色申告書を使った確定申告を行うことができるようになります。提出タイミングとしては、青色申告書にて確定申告を行おうと思っている年の3月15日まで、もしくはその年に開業した方は開業日から2ヶ月以内となっています。

私の場合は、開業届と同時に青色申告承認申請書を税務署に提出しました。

複式簿記による帳簿付を行い、確定申告時に仕訳帳と総勘定元帳を添付することで65万円の所得税控除を活用することができます。(e-taxのみ)

「複式簿記による帳簿付」と聞いてなんだか面倒くさそう…と感じた方も心配することなかれ!です笑

私も今年初めて青色申告による確定申告にトライしましたが、クラウド会計ソフトを使うことで一瞬にして作業が終わりました。詳しくはこちらの記事をご覧ください

2.家事按分により家賃や光熱費を経費にできる

コロナ禍で副業を始められた方は特に自宅を事務所として作業されている方が多いのではないでしょうか。私もYouTubeの撮影、編集作業の多くを自宅で行なっております。このように事務所兼自宅の方は、家の家賃や光熱費を「家事按分」という形で経費精算することが可能です。

ここで大事になってくる考え方が、事業のためにどれくらい使っているのか?ということです。例えば、私の場合はYouTubeの撮影や編集を行う自宅のスペースがあります。そちらの面積を自宅の総面積で割り、家賃を掛け合わせた分を事業経費として計上することができます。または、作業時間をベースとして家賃を按分することも可能です。光熱費も考え方は同じで、事業に使用した分のみきちんと経費として計上するようにしましょう。

不当な経費計上は確定申告後に税務調査など自らにとって不利益なことを生み出します。きちんと、事業のために使った分を申告して所得控除に当てていきましょう。個人事業をすることにより経費申請できることは私たちにとって大きな節税対策になります。

3.事業用の口座を作ることができる

開業届には屋号を書く場所があります。例えば、ネットショップや飲食店を開業している方であれば、そのお店の名前などが屋号にあたります。屋号付きの銀行口座を開くメリットとしては、確定申告の際に、事業で使用した資金と私用の資金を分別することができ、申告の作業がより素早く正確に行うことができます。また、税務調査が来た際には、屋号付きの銀行口座を見せればOKです。個人口座を事業用途と併用している方は、事業とは関係ない個人の資金についても見せるハメになります。

また、ネットショップを経営していて多数の顧客から振り込みが発生する場合は、個人名義ではなく屋号付口座を使うことで、顧客からの信頼度も上がります。

屋号付き口座は、メガバンクやゆうちょ、ネット銀行などで開設することができます。 主な銀行は以下のとおりです。

・三菱UFJ銀行
・みずほ銀行
・三井住友銀行
・りそな銀行
・ゆうちょ銀行
・楽天銀行
・PayPay銀行

地元の金融機関でも屋号付き口座を開設できる場合がありますので、詳しくは各金融機関にお問い合わせください。

開業届を出すデメリットはあるの?

  1. 失業保険を受けられない可能性がある
  2. 扶養から外れる可能性がある
  3. 青色申告書を活用する場合、帳簿付がやや面倒になる

1番、2番は仕方のないことかもしれませんが、開業届を出すということは国から事業者として認められることになります。そのため、扶養や失業保険といった制度の枠から外れる可能性が高いことは覚悟しておくべきでしょう。心配な方は、事業開始、開業届を出すタイミングなど今一度考えたほうが良いかもしれません。

3番については、上記で開設した通りクラウド会計ソフトを使用することで、悩みがかなり解消されると思います。実際に私は今年MFクラウドを用いて青色申告書にて確定申告を行いましたので、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

青色申告のメリットとは?

開業届と同時に「所得税の青色申告承認申請書」を出すことで、青色申告による確定申告が可能になります。そのメリットとしては、下記があげられます。

  1. 最高65万円の特別控除を受けることができる(複式簿記による帳簿付+ etaxでの確定申告)
  2. 赤字が3年繰り越せる
  3. 専従者への給与を経費にできる
  4. 30万円未満なら一括で経費に
  5. 他の所得分類に跨いで損益通算ができる

順番に見ていきましょう。

1. 最高65万円の特別控除を受けることができる

こちらは既に先述しておりますが、複式簿記による帳簿付を行い、e-Taxでの確定申告時に仕訳帳と総勘定元帳を添付することで65万円の所得税控除を活用することができます。同様の内容を行なっていても書類の提出が郵送の場合は、55万円の所得控除になってしますので、お気をつけください。

2. 赤字が3年繰り越せる

特に事業開始たての初年は経費が多くかかったり、売り上げがあまり立たなかったりして赤字になることがあるでしょう。その場合は、翌3年に渡って赤字を繰り越すことが可能になりますので、翌年以降で黒字になった場合でうまくこの制度を使うことにより課税所得を下げることができます。

3. 専従者への給与を経費にできる

基本的に家族への給与は「家の中でのお金のやりとり」という理由から、原則経費として認めてもらえません。しかし、青色申告を使うことにより「15歳以上の家族へ払う給与」に関しては基本的には全額を事業経費に入れることが可能になります。ただし、こちらも本当に事業の経費として支払いをした額にとどめておきましょう。不自然な額を入力することは後に税務調査に入られることにつながります。

4. 30万円未満なら一括で経費に

基本的に10万円以上のものは全てがその年の経費にはならず、固定資産登録をして減価償却をしていく必要があります。例えば、20万円のPCを事業用に購入した場合、耐用年数(法律で決まっている)に渡って定額/定率方にて20万円の資産から毎年償却していきます。しかし、青色申告を使うことで、30万円までの資産であればその年に一括で経費申請が可能になるため、特に売り上げが立った年で課税所得を減らしたい場合は、この制度を利用すると良いでしょう。

5. 他の所得分類に跨いで損益通算ができる

サラリーマンの方であれば、給与収入が所得の基本となっているかと思います。もし、副業で事業を開業し、青色申告を使って確定申告を行なっている場合、事業から赤字が出た場合は、その分を他の所得分類である給与所得から差し引き、還付金としてお金が帰ってくることがあります。白色申告の場合は、事業所得ではなく雑所得として副業収入が認識されることが多いのですが、雑所得になってしまうと他の所得分類との損益通算はできなくなります。また、事業所得は給与所得以外にも、株・配当所得にも適用できるため、保有する金融資産からインカムゲインがある方はこの制度を活用することで節税につながります。

開業届とメリットの多い青色申告!

これまで、開業届についてと青色申告による確定申告のメリットについて説明してきました。私のようにサラリーマンの傍、副業で事業を営んでいる方もたくさんのメリットを享受できます。特に、会社員としての給与収入は源泉徴収により自動的に所得が決まってしまいますし、節税できる幅が少ないです。その反面、事業収入では青色申告をうまく活用することで事業で活用したものを経費として申請することができ、節税につながります。とりわけ、自宅を事業所として使用してい方は家事按分の考え方を導入することができます。家賃や光熱費は事業を営んでいなくても支払う必要があるもので、それが一部事業の経費として所得控除につながるなんて素晴らしいですよね。

初めて事業を始められた方、これから副業を始めようと思っている方は色々心配事も多いかと思います、少しでもこの記事が皆さんの不安を取り除くことに貢献できていれば嬉しいです!

コメントやご感想お待ちしております!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA