第3回の記事に続いて、今回は家族が亡くなった際に残された親や家族の公的手続きについて解説していきます。
残された家族がいち早く新生活を迎えられるよう、私の実体験も踏まえながら手続き内容について分かりやすくまとめていきます。
前回記事では「亡くなった親が加入していた健康保険組合で行うこと」を解説しました。
亡くなった親の勤め先で行うこと
健康保険組合での手続きが終わったら、故人が生前勤めていた職場での手続きに移ります。
本手続きは、亡くなった親が企業に雇用されていた場合に限ります。個人事業主やフリーランスとして働かれていた方、既に定年退職された方は基本的に該当しません。
1. 死亡日までの源泉徴収票の受領 ←準確定申告に必要
まず、故人が生前に働いていた職場に電話(または訪問)をして、死亡日までの源泉徴収票を受け取りましょう。
第一回記事では葬儀・初七日法要までの内容を説明しましたが、葬儀前に訃報の連絡を職場にしていれば、それを受けて企業側が「源泉徴収票」の発行手続きに入っているケースが多いです。この連絡をした際に既に発行が完了している場合は、優秀な職場です。
私の場合、交付申請をした際には既に発行手続きが進んでおり「社員証など会社のものを返却される際に直接お渡しします」とご連絡いただきました。
本シリーズ記事では、後ほど「準確定申告」と呼ばれる故人の所得税申告手続きについて説明しますが、その際に「源泉徴収票」が必要になります。
確定申告を行なったことがある方はイメージが湧きやすいと思いますが、源泉徴収票に記載の給与所得金額、給与所得控除後の所得、支払い社会保険料、その他所得控除や税額控除の項目が税務申告の際に必要となります。
2. 死亡退職金の有無の確認 ←相続税申告に必要
次に、職場に死亡退職金があるかどうかを確認しましょう。
「死亡退職金」とは?
こちらは、労働者の死亡に伴う退職または退職後の死亡によって発生するもので、本来故人が生きていた場合で会社を退職した際に支給される退職金相当額を遺族が代わりに受け取るものになります。
1社勤め上げパターンで死亡日の数ヶ月後に退職金の支払いを予定していた場合などは金額も多くなることが想定されます。
私の一家の場合、父親は定年退職後に別企業に非正規のパート勤務をしていたため、退職金支給社に該当せず、死亡退職金はありませんでした。
死亡退職金は故人の財産とみなされるため、本シリーズ記事で後ほど解説する相続税申告の際に必要となります。死亡退職金を受け取る場合は、支払い証明書や受領証明書などを保管して税務申告に備えましょう。
3. 弔慰金制度の確認・申請
職場に弔慰金制度がある場合、弔慰金の支払い条件に該当するかを確認しましょう。
「弔慰金」とは?
弔慰金は、故人を弔い遺族を慰める気持ちを表現するために企業が遺族に支払います。
ある程度の規模の会社になれば人事規定の中に「慶弔金支給」の項目があるかと思います。その中の弔慰金支払い条件に該当すれば、会社で規定されている金額が支払われます。
弔慰金は支払額が不相当に大きくなければ、基本的には非課税で遺族が受け取ることができます。
私の場合、自分で会社を経営しており自社の会社規定作成に関わっていたことから、弔慰金について認識しており、職場へ連絡をした際にすぐ確認をしました。案の定、規定があり所定の金額の弔慰金の支払いを受けることができました。
4. 社員証など会社のものを返還
社員証など会社関連のものが自宅にある場合は、きちんと職場へ返却するようにしましょう。転職などをして一つの会社を退職する際にも同じことをしますので、退職を経験したことがある方はイメージがつきやすいかと思います。
我が家では、まず訃報の連絡を職場へ入れて、葬儀が一通り終わった段階で、電話にて必要書類の手配依頼をしました。源泉徴収票など会社側で準備が整った段階で職場へ訪問し、お世話になった職場の方への挨拶と社員証返却も同時に行いました。こうすることで職場への訪問を1度で終わらせることができます。遠方の方は郵送でも対応できると思いますが、せっかくお世話になった方々ですので、できれば直接挨拶できるのが好ましいですよね。
年金事務所で行うこと(第5回記事へ)
故人が生前勤めていた職場での手続きが終わったら、次の「年金事務所」での手続きへ移りますが、本記事の長さを考慮し、次回記事に記載します。
少しでも本記事が皆さんに役立つことを祈っております。心に余裕が持てれば、故人を悲しむ時間を十分に取れます。迅速に手続きを行う事ができれば、次の生活への切り替えも早くなります。
また、出費という観点でも、極力自分で進めることで圧倒的に低く抑える事ができます。恐れず、勉強も兼ねて手続きにトライしてみましょう!
第5回記事へ続く。。。
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